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人気洋菓子店「とびばいさ甘座」工場長が推進するLIVING STREET PROJECTとは

定禅寺通の歩道がもっと広くなって、椅子とテーブルもあって。
そしたら、長年住んでいる人たちが表にでてきて、座ってお茶を飲みながらおしゃべりしたりできるでしょ。あと、テントを立てればマルシェだってできる。お店を持っている人も持たない人も、このスペースを使ってたくさんのチャレンジをしてもらいたいんです。
日常と非日常が丁度いいバランスで融合できるような、そんなちょっとした変化がいいですね。そこでたくさんの交流も生まれるはず。

-創業52年の洋菓子店「とびばいさ甘座」工場長 談


 

仙台市民のひとりとして、せんだいタウン情報machico編集部が今回お話をお聞きしたのは、実家である老舗洋菓子店「とびばいさ甘座(あまんざ)」の工場長であり、宮城県洋菓子協会の常務理事も務める渡邉靖水さん。定禅寺通活性化検討会におけるワーキンググループの代表を担い、社会実験第一弾となる「LIVING STREET PROJECT」を推進しています。

みなさんにとって、定禅寺通エリアはどんな場所ですか?どんな変化があるといいですか?みなさんが「こうなったらいいな」と思う定禅寺通エリアをイメージしながら、ご一読いただければと思います。

 

社会実験「LIVING STREET PROJECT

「LIVING STREET PROJECT~西側の歩道を楽しむプロジェクト~」という取組みが定禅寺通で実施されているのを知っていますか?
話をしたり、お茶を飲んだり、本を読んだり。地域に住んでいる人も訪れた人も定禅寺通で過ごす時間を楽しんでもらうために、せんだいメディアテーク向かいにある定禅寺通立町エリアの歩道の一角に、テーブルセットが設置されています。

実施期間などの詳細はこちらをご覧ください。

和菓子職人でもあったお父様が修行の末オープンした洋菓子店「とびばいさ甘座」は創業52年。現在はご兄弟でお店を受け継ぎ、平日もお客様が絶えることがない歴史ある人気店です。住まいもお店の敷地内で、小さい頃から定禅寺通の移り変りを見てきた渡邉さんのアイディアが「LIVING STREET PROJECT」に反映されています。
このプロジェクトを実行するには近隣の協力が不可欠。歩道の使い方の指摘に対する現実的な対応も必要です。ワーキンググループが発足した際、町内会が無かったため、渡邊さんは周辺のお店や施設に一軒一軒お声がけしたそう。
「長年一緒にやってきたみなさんの信頼関係のもとで、お話を進めさせていただきました。人のつながりや信頼は一番大切ですね。どんどん輪が広がっていきました。父の世代から、暗い印象だった定禅寺通に住んで、協力しあって育ててきたという信頼と歴史があってこそ。感謝しています。みなさん長年この土地で商売をやっている方も多いのでお知恵もたくさんいただきながらご協力いただいています」

社会実験として取り組むこの歩道へのテーブルセット設置について、利用者からは「もともとあったみたいだ」「今までなかったのが不思議」というプラスの意見をたくさんいただいているそうです。
「例えば、立町エリアは閑静な場所という声もあれば、人がいなくて暗いという印象を持つ人もいます。定禅寺通エリアに求められているイメージや意見は場面場面で異なるもの。それを埋めていけるのが社会実験なので、たくさんの声を聞いて勉強していきたいと思っています」と話されていました。

 

だれもがチャレンジできる。歩道を使うことの意味は大きい。

「定禅寺通のグリーンベルトは公園としての扱いで管理されています。大きなイベントに適した定禅寺通の歴史あるグリーンベルトですが、気軽にイベントをするにはハードルが高いですよね。もっと日常的に賑わいと交流を定禅寺通エリアにもたらすには、歩道をちょっと使うことの意味はとても大きいと思うんです」と話す渡邉さん。

人口も車も減少している現在、定禅寺通活性化検討会では、定禅寺通の歩道を広くしたスペースをたくさんの人が活用できる場所にしていく構想もあるとお聞きし驚きました。

「歩道スペースで、定禅寺通に面していない店舗さんが販売できたり、今はインターネット販売のみで店舗を持たない若い人もいるので、リアルな販売でお客様の生の声を聞く機会にしたり、アーティストや学生さんの作品展示に使ったり。店舗を借るのはハードルも高いし、リスクも高い。この歩道というスペースをたくさんの人がチャレンジできる場所にすることは、定禅寺通エリア活性化という本来の目的を実現するために、とても現実的な方法だと思っています」

 

ちょうどいい変化と融合

「定禅寺通は西公園に抜ける道。単なる道と公園ではなく、公園に続く道という一体化した使い方ができたらいいですよね。お店やマルシェでいろんなものを見たり、買ったり食べたりしながら、西公園へ行って青葉通へ回遊して帰る」そんな人の流れのイメージを話してくれました。休日の街歩きに理想的な距離とコースで、まちなかの回遊が生まれそうですよね。

「こういった定禅寺通エリア活性化を実現するには、市民の同意が必要。現実的な予測・実験・課題の抽出が必要なので、社会実験でたくさんの声をもらいたい」

渡邉さんは「甘座」の工場長でありながら、宮城県洋菓子協会の常務理事として若い世代に洋菓子のこれからを伝える講師もされています。子育て・介護という経験もあるそうです。多くの経験から、幅広い世代の声を吸い上げてくれる方だからこそ、高齢化が進む今、住民が表にでて交流できる「LIVING STREET PROJECT」や誰でもチャレンジできる歩道の活用のアイディアが生まれるのかもしれません。